IMAGINATION イマジネーション
伝統の継承と革新。時代の求めに応じ新技法を生み出してきた組紐。
組紐が日本に伝わったのは、飛鳥時代と言われています。平安時代には日本独自の組紐技術が確立したと考えられています。結びやすくほどけにくい組紐は、機能性と美しさを追求しながら、その時代の必要に応じて、経巻の紐や武具甲冑の紐などさまざまに形を変えながら続いてきました。和装に欠かせない帯締も、江戸時代の後期に生産が盛んになったものなのです。
帯締を組む道具を「組み台」と呼びますが、組み台にも「丸台」「綾竹台」「角台」「高台」など種類があり、そうした組み台を使って組む組紐は300種類くらいあります。帯締の形状を思い浮かべていただくと、丸かったり角がたっていたりといくつか種類があることがお分かりかと思いますが、平たい布状のものや袋状のもの、紐の中が空洞になっているものなど、組紐の技術で組まれていることにお気づきいただけないものもたくさんあるかと思います。
伝統的な組紐技術の組み合わせなど新たな試みから何百種類もの組紐が生まれてきたわけですが、龍工房ではこうした技術開発に今も挑み続けていおり、和装小物以外の商品開発も数多く行っています。最近では組み方だけではなく、正絹ではない素材も取り入れ組紐の可能性を広げることに努めています。
茶道家・小堀宗翔 優子さんからのご依頼を受けて
新しい組み方や、新しい素材の採用など常に新しい技術開発は行っていますが、同時に求めているのはその技術を表現する場です。
今回、TSUKURIBAから小堀さんがお考えになっている企画のことを聞いて、是非にと手を挙げさせていただきました。水筒の仕服は、このために新しく開発した組紐技術「籠目内記組(かごめないきぐみ)」で組んでいます。正絹と革紐の異素材の組み合わせは、この企画の少し前に帯締でトライしたもの。細い絹糸と革紐の質感を揃えるため、絹糸の束を糸で巻く「カバーリング」という夏物のレースの帯締の技術を取り入れています。さらに組紐の中を空洞にする「中空(ちゅうくう)」技術を応用して、伸縮性のある網状の組紐を実現しました。組紐と言うと帯締を連想しがちかと思いますが、こんな思いもよらないものができるのです。
今回の企画で、水筒の仕服に触れた方が、驚いたり楽しんでくださって、組紐の可能性の広さが伝わると嬉しいと思っています。
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